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 飛行機に乗って空襲を考える。

ここ数週間、沖縄で行われるゼミ合宿のため、ずっと沖縄戦の勉強をしている。従って、日常の何気ないことでも、何かと沖縄戦に結びつけて考えてしまうようで、すっかり思考回路が「沖縄」「戦争」「戦時」に支配されている。(それが喜ばしいことなのかどうかはわからないです(^^;;)

先日、飛行機に乗ったときは、眼下に広がる景色を見ながら空襲のことを考えた。

大阪まで300マイル足らず。「富士山がきれいだよ」という友人のすすめで、本州山側の席を選ぶ。

飛行機は羽田から離陸して、すぐに右旋回の大カーブを描いた。(とりもなおさず、米軍の制空権があるためで、航路は不自然になっている。ちなみに沖縄の上空もほとんど米軍に支配されていて、那覇空港へ着陸するときは、沖縄本島に近づく頃に低空飛行を開始し、けっこうな長い時間継続しなければならないことになっているらしい(←これも合宿の時に確認してきたいと思います)。)大阪(今回は関空)へ向かう飛行機は、ほぼ日本列島の海岸線に沿うように進み、東京湾から川崎の工業地帯、江ノ島や横浜といった、見慣れた土地の風景が眼下に広がる。
箱根を過ぎて静岡に入ると、すぐに富士山が見える。上京・帰郷するときに富士山を見ることは、一つの大きな楽しみだが、たいていは地上から(バスから電車から)眺めるだけで、今回のように見下ろす富士山を見るのは(たぶん)初めてのこと。雲の谷間に山頂が望めただけとはいえ、やはり周囲のどの山よりもひとつ抜けていて、すぐにそれとわかる。友人のことば通り、とてもきれいだった。

飛行機の速度は時速850キロ。富士山もあっという間で、電車で地上を走ればあんなに長い静岡もすぐに過ぎてしまった。そしてしばらくすると、どこかで見たような「図」が・・・なんと実家のある、愛知県の蒲郡市だった(!) 三河大島と竹島だけではなく、地上数千メートルの上空からも、はっきりと母校の校庭が目視できる。実家すら見当がつくってやっぱ小さい町だなぁ・・・(^^;;)。想定の範囲外なできごとで、さすがにびっくりした。まさかお目にかかれるとは思わなかった。

関空へは淡路島上空を旋回しながら高度を落として着陸。3つの空港がひしめくこのあたりは、友人によればまあいろいろ大変なことになっているらしい・・・。

東京から関空まで、1時間あまり。値段は新幹線より数千円高くなるが、時間は半分で済む。飛行機自体が、乗り物として身近かどうかは別としても、やはり非常に便利であることには間違いないと思う。

さて本題。
普段は飛行機を見上げて生活をしている自分の視点から、今回は飛行機から普段の生活を見下ろす視点へ転換した。飛行機から見下ろす世界は、すべてがミニチュアで、模型のようで、動きもないし、とりわけ時間帯が昼間だったこともあり(ちなみに夜だと車のヘッドライトが動くので、帰宅する人の動きがよく分かるし、それ自体、すごく生活感がある)、およそ眼下に人々の生活があるとは考えにくい・・・と思ってしまう人の気持ちがすごくよく理解できた。
自分は反対に、たとえ飛行機から上から町を見下ろしたとしても、やはり見下ろされている家に住む人々の生活に思いを致す。自分が住んでいる東京や、実家のあたりだけでなく、あんまり縁のない静岡や三重県の山あいの町にも、それぞれの生活があるんだなあってことを考える。(ちなみになんでだろう・・・?やっぱり飛行機が身近でないからかな?)

61年前も、空襲した飛行機からは東京の町並みが見えたはずで、当然に眼下に広がった町のそれぞれに人々の生活があった。しかし戦争を通じて、町並みを「ミニチュア」で「模型のように」見ることが日常化して、ある種仕事として飛行機に乗る人の視点からすれば、足下に人の生活があるなんて考えることは、およそ余計なことで不必要なことであるばかりか、任務遂行の大きな妨げにすらなりうる・・・ことはよく理解できるし、戦時下であるならば、爆弾を投下することすら日常化しているわけだから、きっと何の罪悪感も感じなくなるのだろう。ましてや現代の戦争は相当程度コンピューター化され、爆弾の投下も機銃掃射も「ゲーム化」し、かつて遊んだシューティングゲームさながら、「敵」を「倒して」「面」を「クリアする」ような感覚で、人の生活を意識することなく任務を遂行することが可能となってしまっているなら、もはやそれを意識することすら求め得ないと思う。

まぁそういう通常の人間感覚を喪失させるものこそ、戦争の本質なんだろうな。兵隊さんが人間感覚を取り戻したとしたら、戦争はできなくなってしまうと思うけれども、その人間感覚こそが戦争を止める・戦争をしない発想の原点であるように思える。

・・・というようなことを考えながら、定刻にぶじ着陸。遊びに行くのに「余計なこと」を考えていたかもしれないなーなどと思いつつ、友人と再会した。

コメント

沖縄上空はいわゆる「嘉手納ラプコン」という米軍嘉手納基地の管制下にあるそうですね。一昨年沖縄行った時、飛行機の中で先生とその話をしたことを覚えています。日本政府(国土交通省)への返還が予定されているらしいですね。
ちなみに、飛行機に乗ったとき藤田さんとおなじような発想をしてしまう私も、やはりあのゼミだからなのでしょうか(笑)

>値段は新幹線より数千円高くなるが、時間は半分で済む

空港で3時間待ちぼうけくらったろw

そんな私も毎日、ふじた蒲郡を往復通過してますよ。www

>kusumi
コメントありがとう!そして合宿もおつかれさま☆こちらはひと足先に実家に帰着しました。

沖縄合宿のほうもすごく楽しみにしています。ちなみに返還が予定されているとは知りませんでした。いつごろなのかな?一応米軍の管制下にある空の「現場」をぜひ体験してみたいと考えていたんだけど・・・。

そしてもちろん「あのゼミ」だったからこそ、そういう風に考えてしまうのだと思うよ。で、たぶんきっとみんな同じだと思うよ。先生の話を聞いていると、そういう思考回路にならざるを得ない気がする(^^;;

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