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 日本語ボランティア。

大学には様々な経緯で、世界の各国から留学生がやってくる。その数は年間1300人をこえる。留学生の目的も多様で、日本語を勉強しに来た学生から、日本語で専門分野の勉強をしに来た学生、また、英語で勉強をすることを目的に来た学生もいる。

このような状況の下、大学には留学生の日本語学習をサポートする機関として、日本語教育研究センターが設けられている。その日本語教育研究センターでは、毎学期に、日本語を母語として話す学生を、日本語の授業を助けるボランティアとして募集している。

私もアメリカ留学中に、現地の大学の学生に、週に一度(多いときはほとんど毎日)英語の会話の相手になってもらっていた。そして、それは自分の英語力の向上のみならず、お互いの文化理解にも大いに貢献し、非常に得るものの多い、とてもよい経験だった。私も、日本語のネイティブスピーカーとして、アメリカで助けてもらったその恩返しがしたいと思ったこと、また、第二言語を留学して学んだ学生として、その苦労や不安なところもよく理解できるため、その観点からもアドバイスができたら、と考えてボランティアに応募した。

いくつかクラスの選択肢があったのだが、最終的に「口頭表現」の8レベルのクラスを選択した。8レベルとは、いわば「超上級」で、カリキュラムに設けられている日本語レベル1〜8の段階の最上級にあたる。

最初の授業で彼らの自己紹介を聞いたが、その日本語の流暢さもさることながら、ほとんどが大学院生で、日本への滞在が長く、自分より人生経験の豊富な人もいることに、大変驚かされた。TOEICでいえば、900点は超えて、満点に近いようなレベルの人ばかりで、日本語学習者がミスをしやすい点もきちんと押さえ、極めて正確に日本語を話す。そんな学生が15人。(出身は韓国、中国、台湾、マレーシアとオーストラリア。)

口頭表現では、各学生が一人ずつ毎回の授業でプレゼンテーションをし、聞き手から意見や質問を出して、議論をする。特に先生が留意しているのは、お互いに言いっぱなしになってしまうのではなく、意見のキャッチボールが成立するような話し合いにすることだという。(トピックは各人が好きなものを選ぶことになっている。)日本語ボランティアの役割は、この趣旨を踏まえた上で、彼らの発表を聞き、意見を述べることである。一応のところ、言語面ではハンディがないため、授業には主体的に取り組みやすいはずである。

しかしながら、もうすでに3度の授業をこなしたが、実際のところ、留学生の問題意識が高く、意見も鋭いため、日本語のネイティブスピーカーだからといって、楽に議論に参加できるというわけでは決してない(と感じている)。日本文化についても造詣・理解が深いので、余計な解説は不要で、むしろ直球に日本人学生として、どう考えるかということを常に聞かれる。ここに、私がアメリカ滞在中に感じていたような語学の壁は一切なく、毎回の授業は正直に言って、私にとって戦々恐々としたものになりつつある。

とはいえ、それはそれで私としても興味深いし、望むところでもある。海外から来た学生と日本語で会話をするというだけでも稀有な経験であるが、意見を交換し議論を交わすというのは、まさにこの大学でしか経験し得ないし、学ぶところが非常に多いと思う。(個人的には、もう少し仲良くなって、家に招いたり、飲みに行ったりしたいものです。)たった一学期だけの授業だが、双方にとっていい経験になるように、自分としても主体的・積極的に取り組みたい。そしてそれが、どんな形であれ、将来にわたっても続くようであったらすばらしいと思う。

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