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 はじめてのTOEIC。

今日は朝から英語の試験を受けた。留学するときには「TOEFL」のスコアが求められるが、今回の試験は「TOEIC」で、学生の間では主に就職用として知られている。主催しているのは国際ビジネスコミュニケーション協会という財団法人で、試験も正確に英語を使う能力を測ることに主眼を置いている。スコアは最低点10点から最高点の990点まで幅広く、比較的正確に自分の実力を知ることができる。また、点数別にレベルが設けられており、そのレベルがコミュニケーションの能力を表している。この分類が非常に興味深いので、紹介したい。

まず、220点以下はレベルEで、コミュニケーションができるまでにいたっていないという段階とされている。これは、単純な会話をゆっくり話してもらっても、部分的にしか理解できない、また、断片的に単語を並べる程度の会話しかできず、実質的な意思疎通の役には立たない、という程度の英語力であるそうだ。やや厳しい判定にも聞こえるが、試験自体がとりたててむずかしいわけではないので、こういうことになるのだと思う。

次に220〜470点はレベルDで、通常会話で最低限のコミュニケーションができる段階とされている。この段階の学習者は、ゆっくり話してもらうか、繰り返しや言い換えをしてもらえば、簡単な会話は理解でき、身近な話題であれば、応答も可能である。語彙・文法・構文ともに不十分なところは多いが、相手が「Non-Native」に特別な配慮をしてくれる場合には、意思疎通をはかることができる、ということになっている。中学生のときに一週間ほど、オーストラリアからの留学生を受け入れたことがあるが、きっとこの程度の英語力だったんだろうと考えている。自分の英語力は大いに伸びたが、彼にしてみれば物足りないものだったに違いない。

次のレベルCは470〜730点。やや点数に開きがあるが、この段階の学習者は、日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる。 通常会話であれば、要点を理解し、応答にも支障はない。複雑な場面における的確な対応や意思疎通になると、巧拙の差が見られるが、基本的な文法は身についており、表現力の不足はあっても、ともかく自己の意思を伝える語彙を備えている、とされている。私の印象では、多くの大学生はこの段階でさまよっているものと感じられる。自分も留学前は、まちがいなくこの段階だったと思う。学校で習っただけ、あるいは、受験のために勉強しただけだと、このあたりを行ったりきたりするような力を持つ学習者ということになるのだろう。

730〜860点はレベルBで、どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている、とされている。この段階の学習者は、通常会話は完全に理解でき、応答もはやい。話題が特定分野にわたっても、対応できる力を持っている。業務上も大きな支障はない。正確さと流暢さに個人差があり、文法・構文上の誤りが見受けられる場合もあるが、意思疎通を妨げるほどではない程度の英語力を持っているそうだ。

つづいて最高レベルのAは860点以上である。ここまで来ると、「Non-Native」として十分コミュニケーションができる能力を備えているそうで、自己の経験の範囲内では、専門外の分野の話題に対しても十分な理解とふさわしい表現ができる。Native Speaker の域には一歩隔たりがあるとはいえ、語彙・文法・構文のいずれをも正確に把握し、流暢に駆使する力を持っている、とされている。

さて、翻って、一年の留学を経験した自分の場合はどうかと考えてみると、まず、自身の実感として、レベルBには達しているという自信はある。留学前と大きくちがうのは、何をするにも英語と日本語とにこだわらなくなったことである。たとえば、英語のインターネットのサイトで情報収集することもできるし、その情報をベースにレポートを作成することもできる。そして、そうすることに特別な障壁を感じなくなった。以前であれば、英語のサイトを見ることなど考えられなかったし、たとえ見たとしても、すぐにわからなくなってあきらめていただろうと思う。

しかし、その自信が「専門外の分野の話題に対しても十分な理解とふさわしい表現ができる」かどうか、「語彙・文法・構文のいずれをも正確に把握し、流暢に駆使する力を持っている」かどうか、となると、やや不安になってくる。専門でない話題には留学中もついていけなかったし、もちろんそれは今でも変わらない。とはいえ、「自己の経験の範囲内では」という但し書きがついているので、たとえ専門外でもなんとかなる話題もあるとは思う。

一年間(実質9ヶ月)の滞在でさまざまなことを経験したし、絶えずいろんなことを話題にした。それがどんな状況でもコミュニケーションができるレベルを超えて、どんな話題に関しても十分に理解し、流暢に応答できるレベルまで達しているかと言えば、やはりなんともわからない。自分はいまのところ、レベルBとAの間にいるだろう、と考えている。もっとも、実際の会話では聞き返すこともできるし、わからなければ質問すればよいので、その意味では試験よりも簡単ではある。点数を取れるかどうかは試験のテクニックによるところも少なからずあるので、一概に点数で判断することもできない、とも思う。(この指標も目安ということになっている。)

今回は、なにより就職活動のために必要だったので受験した。一年間の留学を経験したとはいえ、やはりTOEICのスコアをもって、自分の英語力を形にして示すことは必要なプロセスであると考える。今回は初めてだったので、何点取れたかはまったくわからないが、さしあたりの目標は860点を超えることであろうか。先週の国際会議の期間中にも感じたが、帰国から早くも一ヶ月以上がたち、日々日々英語の力が落ちていることを痛感せずにはいられない。当然に英語に触れる機会が少ないので、自分から英語を使うように努力しなければならないし、それはアメリカにいたときよりもより大きな苦労が伴う。語学力を維持するための本当の戦いはまだ始まったばかり。そして、これが生涯続いていくことになるんだなあ、と考える今日この頃である。

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