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 年金。

いま話題の年金。学生でも20才になったら、国民年金に加入しなければならない。これは義務である(というより、自動的に加入してしまう)。しかし、学生で所得がない(年間で133万円以下)場合、「学生納付特例」を申請することができ、学生の間は、納付を免除される。今日はその手続きのため、区役所に行ってきた。

正直に告白すると、私には現在、「1年5ヶ月」の「未納」期間がある。

「学生納付特例」の手続きは、年度初めの4月か5月に申請をすれば、その年度内は特例が適用される。年度がかわるごとに手続きをしなければならない。私の場合は、平成14年度、大学2年生の9月30日に20才になり、自動的に国民年金に加入した。加入の直後は、2ヶ月以内に特例を申請することで、その年度分は免除される。
だが、私の場合は、2ヶ月以内に特例を申請せず、年度終わりの3月に特例を申請した。この場合は、2ヶ月さかのぼって適用になるため、当該年度の2月と3月分は免除となった。面倒な手続きをほったらかしにしてしまうことはよくあるが、おそらくこのときは「加入から2ヶ月以内に申請しなければいけない」ということを「いつ申請しても当該年度分は免除される」というように勘違いしていたのではないかと思う。しかし、いずれにせよ特例を申請していないので、現段階で平成14年度の9月から1月まで、5ヶ月の未納期間が発生しており、納付しなければならないことになっている。

その次の年度(平成15年度)も、4月か5月に特例を申請すればよかったのだが、大学3年生で、なんやかんやしているうちに、結局一年間、申請(できなかった?)しなかった。ここで丸1年の未納期間が発生している。ちょうど年度が替わったときに申請をしなかったため、役所の側としては、大学を卒業し、就職したもの(ただし、厚生年金には加入していない)としてあつかわれていたようだった。

そして、今年度(平成16年度)になり、今日、学生納付特例を申請した。これで、この一年間は納付が免除される。
しかし、私はこの夏から留学する。来年もひきつづいて学生であるのだが、4月と5月はまだ日本にいないことが考えられるため、特例の申請ができないのではないか、と思っていた。
しかし、担当の方(国保年金課受給資格係)の説明によると、海外に住んでいる場合は、国民年金への加入義務がないそうだ。したがって、納める義務もない。ただし、将来の受給額には反映される。(この点については後述。なお、義務はないが、任意で払うことはできる。)
具体的には、いま私は豊島区に住んでいるが、留学先の住所(アメリカ合衆国アイオワ州)に転出するという届出をすると、その翌日付で加入者の資格を喪失する。一年後、日本に帰ってきて、どこかの自治体(引っ越し先)にふたたび転入届を出すと、加入者としての資格が復活する。そこでまた、2ヶ月以内に特例の申請をすると、当該年度は納付が免除される。

この「学生納付特例」は保険料納付の免除であるが、将来の受給額には反映される。つまり、(学生納付特例に限らず)免除を申請している時点で、満額で受け取ることはできない。満額で受け取るためには、時効まで(未納の場合は2年、特例の場合は10年。時効の起算点は納付期限。)に追納をしなければならない。また、納付期限から2年以降の追納からいわゆる利息(加算金)が加算される。最高で1ヶ月あたり2780円の加算になる。
また、年金を受け取るには、300ヶ月(25年)間、年金に加入し保険料を納付していなければならない。免除の期間や、加入義務のない期間については、受給額には反映されるものの、年金受給資格には算入される。つまり、免除されていた期間や、加入義務のない期間も、資格は有しているという扱いになる、ということである。(留学の場合はパスポート等で証明する必要がある。)将来、満額で受給したい場合は、追納しなくてはならないため、20才からの分は、いずれにしても支払わなければならない。(この点は、ちょっと冷たい制度だと思う。)


さて、ここまで年金について、自分の場合をモデルケースに考えてきた。担当の方にも、けっこう詳しく説明をしてもらい、なんとか(自分に関わるところだけだが)その仕組みを理解することができた。確かに、仕組みは複雑で、非常にわかりにくいと思う。
現在の私は、国民年金(第1号被保険者)に加入しているだけであるが、将来就職すれば、厚生年金にも加入(第2号被保険者)することになる。さらに、途中で会社をやめたりした場合は、また国民年金(第1号被保険者)のみにもどり、収入によっては免除(全額あるいは半額)にもなりうる。また、扶養したり(厚生年金に加入していれば種別はそのまま)扶養されたり(この場合は第3号被保険者になる)でも、その資格はいろいろ変動する。その中で、手続きが必要になる場合もあるし、自動的に加入する場合もある。

報道を見ている限りでは、国会議員と大臣とでは、加入する年金の種類がちがうようで、それも突然、大臣になったり大臣をやめたりで、その都度、手続きをしなければならないようである。この仕組みをしっかり把握するのは、確かに少し難しいかもしれない。

今回も私は「自転車で20分もかかる」区役所まで、「勉強」や「サークル」で「忙しい」中、その合間をぬって、わざわざ自ら出向き、手続きをしてきた。「うっかり」して「未納」になってしまった期間もある。払わなかった期間については、将来の受給額に反映されるため、けっきょく「自己責任」ということにでもなるのだろうか。

これを機会に、いままで自分がまったく興味のなかった年金について、詳しく知ることができたのは、大変よかったと思う。未納や未加入でさわぐのは、問題の本質を見誤っていると思うが、議論を喚起するという点のみにおいては、大きく世論に貢献したのではないかと思う。私の場合も、ここまで「未納」でさわがれなければ、今年も手続きには行かなかった(と思う)。大学の友だちとも「未納」や「特例」について話すことが多くなった。「年金は自分の将来に大きく関わることであるはずなのに、意識が低い。」などという向きもありそうだが、あれだけたくさんの未納の国会議員がいる国の学生の意識としては、仕方のないことではないだろうか。

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