ぼくはいま、大学4年生であるが、今年の夏から一年間、留学してしまうので、いままでの大学生活のほとんどを、ともにすごしてきた同級生とはいっしょに卒業できない。卒業ができないだけでなく、多くの同級生が出かけるであろう、卒業旅行にも行くことができない。また、来年の今頃には日本に帰ってくるが、その頃にはもうみんな働き始めている。したがって、いつもの調子で、突発的にどこかに出かけることはできなくなってしまう。（ちなみに、ぼくの通っている大学は、留学・留年しても学年だけは進むので、帰ってくると5年生という扱いになります。授業は4年生のものを引き続き履修します。）
そんなような理由で、ぼくを気づかってくれた仲間が、ひと足はやい卒業旅行に誘ってくれた。4人のみんなそれぞれがバイトやサークル、勉強で忙しい中、けっこう強行日程であったが、なんとか予定を組んで、思い切って旅行に出かけた。九州への一泊二日の旅である。

初日は、朝早く東京を出発。飛行機で長崎まで飛び、少しの観光をまじえつつ、九州を南下した。途中では、今春開業したばかりの、九州新幹線にも乗った。夜は霧島温泉。格安のプランを利用したはずなのに、学生の身分でこんな豪華な食事が・・・と思うような晩ごはんであった。温泉の出ている浴場も大きく、大変印象のよい宿だった。次の日は列車で山間部を行き、全国でもめずらしいループ線やスイッチバックとのある路線に乗った。夜、宮崎空港から東京にもどった。

二日間のほとんどを電車に乗って過ごしていたからか、いまだに電車にゆられている感覚が続いている。おいしいご飯、うまい酒、よい景色、そして気の合う仲間・・・。話題は尽きることなく、楽しく過ごす時間はとてもはやく感じられた。実に充実した二日間であった。留学する自分と、すでに就職先が決まった二人、これから就職する後輩と、順にあと数ヵ月後にはそれぞれの道へ進むことになる。もう二度と、このような旅行をすることはできないだろう。しかし、それに見合うだけの感激を得た。本当に楽しかった。多少の無理をしたが、旅行に出かけて本当によかったと思う。