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 深夜のコンビニ。

私は大学近くのコンビニで深夜のアルバイトをしている。週に一回、夜10時から朝9時までのロングランだ。今回はバイトについてあれこれ書いてみたい。

22時。
家路を急ぐ学生を横目に、勤務がスタート。この時間帯はまだぱらぱらとお客さんが来る。その多くは学生だが、仕事から帰る会社員もちらほら見られる。納品までの時間、事務室にいたり、商品整理をしたりしてすごす。

23時。
飲み物やおにぎりの棚の温度チェック。消費期限の切れるおにぎりやおそうざいを回収し、廃棄処分にする。

23時45分。
一回目の納品(1便)。この回では、次の日の朝用のパックの飲み物、深夜用のおにぎりやおそうざいが来る。飲み物はけっこう量が多く、すべて並べ終えるまでに、だいたい一時間くらいかかる。
また、同じ頃、翌日発売の雑誌がくる。日によって量はまちまち。お客さんもだんだんとへってくる。

0時30分。
地下鉄東西線早稲田駅の終電。いちおう、電車の動きもお客さんの数に影響していると思う。

0時45分。
冷凍もののお弁当やアイスがとどく。最近は暑くなってきて、毎晩大量のアイスが届く。この時間でも、まだ一回目の納品できた飲み物が並べ終わっていないことが多いが、アイスは店内に放置しておくと溶けてしまうので、こちらを先に冷凍庫に入れる。

1時30分。
ドライ品と呼ばれる、インスタントラーメンやペットボトルの飲み物、栄養ドリンクなどの納品がある。ペットボトルのジュースもこの季節はかなり大量にくる。たてつづけにくる納品もこの回でひと段落。随時、休憩を取りながら、4時30分の次回の納品までにすべての品を並べ終える。この時間になると、もうほとんどお客さんは来ない。雑誌の立ち読みもない。

4時。
新聞屋さんから朝刊の配達がある。時間は代理店によって異なる。

4時30分。
一回目のパンの納品。そろそろ外が明るくなってくる。

5時30分。
宅急便屋さんが昨日の夜からこの時間までに持ち込まれた荷物の集配に来る。

6時。
レジの点検(精算)をする。現金がレジ内に多く残っているようなときは、事務室の金庫に入れる。この頃から、そろそろお客さんが来るようになる。多くは建設業関係の人だ。

6時15分。
二回目の納品(2便)が来る。朝用のおにぎり、おそうざい、サンドイッチ、パンが大量に来る。どれも棚いっぱいの量である。数えたことはないが、おにぎりなんかは数百個は優にこえていると思う。
この時間になると、お客さんもけっこう来るようになり、並べているところからもお客さんが商品を取っていくこともある。大量の商品をとにかくさっさと手早く並べなくてはならない。出勤する会社員のみなさんも店に来るようになる。

7時30分。
ようやく2便の商品を並べ終わる。立ったり腰を下ろしたり、レジと棚を行ったりきたりで、一番大変な時間である。並べおわり次第、棚の温度チェックをする。

8時。
だんだんと学生の姿が見られるようになる。とはいえ、まだお客さんも少ないので、この時間帯がいちばん眠い。眠気をとにかくこらえながら、レジに立っている。

8時30分。
9時からはじまる1限の授業に出席する学生がたくさんたくさん来店するようになり、忙しさはピークをむかえる。日中勤務のバイトも来て、この忙しさをふたりでむかえるが、それでもさばききれないほど多くの学生が来る。レジには行列ができ、できる限りてきぱきとひとりひとりの会計をすませなければならない。ときおり、友だちの顔も見かける。しかし、かなり殺気立っており、いっぱいいっぱいなので、あまり(話しかけてくれない?)話す時間もない。

9時。
お客さんをさばくことに夢中になっているうちに、勤務終了となる。授業が始まり来店する学生も落ち着く。体力的に、精神的にもかなり疲れているので、足早に家に帰って寝る。「はぁ〜、つかれたぁ〜」。


これで時給1000円。11時間の勤務で、一日当たり11000円、週に1回程度、月には4〜5回で、だいたい4〜5万円をかせぐ。夜勤なので、週に一回とはいえ、バイトにとられる時間は長く、また、なにより生活習慣・生活時間に大きな影響が出るため、比較的きついバイトであると思う。夜勤を始めたころは、かなり大変だった覚えがあるが、最近はずいぶんとなれてきたこともあり、そこまで大きな負担には感じなくなった。自分としては、まずまずよいアルバイトだと思っている。廃棄になったお弁当やおにぎりはお土産にもできる。なお、私は学費を親に負担してもらっているため、バイト代は生活費と飲み代、サークルのため、遊ぶためのお金となる。「アルバイトをすることが生活に必要不可欠か?」と問われれば、「そうでもない」と答えるだろう。そう答えられる私はやっぱりめぐまれているほうだと思う。

コンビニへの強盗事件がたびたび発生するが、これについてもちょっとひとことコメントを。
まず時間帯であるが、いつも報道を気にしてみている限りでは、だいたい3時30分〜4時30分の間のようである。お客さんも少なく、また、外もまだ薄暗いため、もっとも入りやすい(?)時間ではあると思う。
次に被害額。これはレジ内の現金の管理によって、最小限におさえることができる。約30万円の被害にあったという報道も聞いたことがあるが、これは明らかに管理のミスである。基本は3万円、多くても10万円、これ以上の額をレジの中に入れておくのは危険である。少し現金が多くなったと思ったら、「途中回収」といって、まとまった額の紙幣を金庫に入れる。ぼくなどはいつまでも高額の紙幣がレジの中に残っていると、いつ強盗が来るか不安で、落ち着いて仕事ができない。以前、たくさんの公共料金を一度に支払った(数万円分)お客さんがいたが、あまりにレジの中に現金がたまりすぎてこわくなり、すぐに金庫にしまった。なお、金庫にしまったお金は、アルバイトは出すことができない。このような管理を徹底することによって、被害は少なくおさえることができると思う。
幸いにして、まだ強盗にあった経験はない。(ちなみに、もし強盗にあったら、店長からは「逃げていいからね」と言われている。)けっして強盗の事件をひとごとだとは考えていないし、いつ自分の勤務時間内に事件が起きてもおかしくないとは考えている。家族や友だちに深夜のバイトをしていることを話すと、まっさきに心配されるのは強盗である。ぼくも毎回の勤務を緊張して仕事をしているが、午前5時ごろ、何事もなく、外が明るくなってくるのをながめて、毎回の無事を安心している。

コンビニの夜勤を経験して、社会に対するものの見方はずいぶん変化した。小学校くらいの家庭科の教科書で「便利さは人の生理的活動とはあわない労働によってささえられている」(だったかな?)というような趣旨の文とともにのせられた、とあるコンビニの写真を見たことがある。当時はようやく地方にコンビニが進出しはじめたころで、まだあまり定着していなかったが、近年急速に日本全国にコンビニが広がって、どこのまちでも必ず見かけるようになった。そしてそのほとんどが24時間営業である。小学校の頃など、夜更かしをすることは考えられなかった。中学にはいって、ラジオの深夜番組にはまったことはあったが、徹夜をすることはまったくといっていいほどなかった。高校でも同様で、比較的規則正しい生活を送っていた。大学に入って、ずいぶんと生活は乱れたものの、徹夜で働くことは、はじめはなかなか受け入れることができなかったし、夜勤もなれるまではかなり苦労した。コンビニエンスストアというまさに文字通り、便利さを売り物にした店での夜勤は、先ほどのことばの意味を常に再確認させられる。そして、夜勤をしているのはぼくだけではない。毎回の納品に来る人すべてが夜勤労働者である。しかもこれを毎日の仕事として生活をしている。私のような週一回のアルバイトとはわけがちがう。昼間におきて夜に寝る生活をしていたのでは、決して見ることのできない社会の一面であると思う。多くの人が家でゆっくり過ごしている夜中に働く人のおかげで、毎日の生活をより便利にすごすことができるのである。そういう視点を忘れるべきではないと思う。

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