ブラインドタッチ、できますか？
みなさんはブラインドタッチ（タッチタイピング）ができますか？ブラインドタッチ（タッチタイピング）とは、キーボードを見ないで文章を入力することですね。
私自身はパソコンに触れ始めてから、すでに１０年以上が経過していまして、ブラインドタッチ（タッチタイピング）は高校生のときに、練習ソフトを使って覚えました。大学に入ってからはパソコンを使う頻度がかなり増え、学年が進むごとに、授業だけでなく日々の生活の中でもパソコンを使うことが多くなりました。今ではパソコンなしでは成立し得ない日々が続いています。当然に毎日キーボードを使いますし、使えば使うほど、操作に慣れ、打つ速度も速くなってきました。また、アメリカ留学中に英文タイプを覚え、さらに速く正確に打てるようにもなりました。
このスキルは、基本的にはやっぱり自分のためのスキルです。人のために直接役に立つということは、なかなかなさそうです。ところが先日、このスキルを人のために使うことができると知りました。
それが�爛僖愁灰鹹面�″です。先日、大学の障がい学生支援室が主催している「パソコン通訳講座」に参加してきました。障がい学生支援室とは、身体に障がいのある学生の支援を専門に担当している部署で、昨年度（だったと思いますが）新しく設置されました。私自身もこれまでの学生生活の中で、障がいを抱える学生に出会ったことがあります。ある学生は電動車いすで学校に通っていました。また、ある学生はノートテイカー（後述）とともに授業を受けていました。こうした学生に対する配慮は、これまで学部事務所が個別に対応していたんだと思いますが、このたび全学的に対応できる部署として設置されたのがこの障がい学生支援室だと思います。（たぶんまちがっていないと思いますが、一応ぼくの推測です。）
さて、パソコン通訳とは、主に難聴や聴覚に障がいある人のために、大学の授業や講演会、スポーツ大会などで、話者の言葉を、通訳者が聞き取ってパソコンに入力し、その内容をスクリーンに映し出すという方式の通訳です。難聴や聴覚に障がいのある人たちに対しては、他にノートテイクや手話通訳といった方法もあります。ノートテイクとは、速記とは異なり、ノートテイカーと呼ばれる人が、話者の言葉をそのままノートに書き取ります。聴覚に障がいがある人はノートを見ながら、内容を追うことになります。また手話通訳は文字通り手話による通訳ですね。
全国には６００人の難聴の学生がいるそうです。私もこれまで学生生活の中で、ノートテイクをしてもらっている学生や、手話を勉強し使っている学生に出会ったことがあります。聴覚に障がいがあったとしても、当然に一人の学生として授業を受ける権利があると思います。そして、大学は学生の不都合を解消するための便宜を図る義務があると思います。聴覚に障がいを抱える学生に対しては、パソコン通訳やノートテイク、手話通訳といった手段を通じて、授業が受けられる環境を保障することができます。（なお、こうした講義の内容を保障することを「講義保障」と言います。）
３つある手段のうち、手話通訳がやはりもっとも優れています。話者の言葉をリアルタイムに一字一句正確に伝えることができるからです。しかし、すべての聴覚障がい者が手話によるコミュニケーションができるとは限りません。とりわけ、成人してから聴覚を失った人は、手話を覚える機会があまりないため、手話が十分に使えないことがあります。また、一方でノートテイクは、基本的にはノートの書き取りができれば、誰でもノートテイカーとして活躍できますが、やはり書き取るスピードに限界があり、往々にして話すスピードについていけないという場合があります。もともと、ノートテイクもパソコン通訳も、話者の言葉を一字一句文字化するわけではありませんが、この点、パソコン通訳はノートテイクよりも速い速度で、読み手に伝えることができます。また、ノートテイクと大きく異なるのは、入力した内容をパソコンの画面だけでなく、プロジェクターを利用して、スクリーンに映し出すことができるという点です。スクリーンに映し出すことで、一度により多くの人に話されている内容を伝えることができます。しかしながら、パソコン通訳をするためには、パソコンはもちろんのこと、プロジェクターやスクリーンなど、ある程度の設備が整っている必要があります。それに、いくらパソコンが普及したとはいえ、やはりパソコン通訳はやや特殊なスキルで、ある程度のノウハウと練習が必要だと思います。なかなか完璧な手段というのはないものですが、パソコン通訳と手話通訳を合わせて利用することもできますし、ニーズに応じて臨機応変に対応することができればよいのだと思います。
実際の利用方法については、ぜひこちらのページをご覧ください。
http://iptalk.hp.infoseek.co.jp
さて、パソコン通訳をするためには、まず何よりブラインドタッチができることが欠かせません。しかしそれ以上に、パソコン通訳としての多少のコツとノウハウが必要です。
その第一は、「聞きながら打つ」ことです。「聞きながら打つ」とは、打つことと聞くことを同時進行で進めることです。通訳者は話者が言っている内容をどんどん打っていかなければなりません。ある程度の速さが求められますが、同時に、正確さも求められます。自分の打てるスピードをきちんと把握して、可能な範囲内で正確に速く打つことがポイントです。パソコン通訳の場合は、１分間に８０文字以上を入力することが要求されているそうです。
ところが急いでいると、やはり打ち間違いをする確率が高くなります。私もよく打ち間違いをします。この場合は、スクリーンに映し出す前に必ず訂正をします。とはいえ、大学の講義などはノンストップで進むため、内容を落とさないようにきちんと打とうと思えば思うほど、緊張してなかなか正確に打てないこともあります。おそらく、ある種の場慣れも必要なんだろうと思います。
第二のポイントは「要約」です。先ほども述べたように、話者の話している内容すべてを文字化することはやはり困難ですから、ある程度、通訳者が要約しなくてはなりません。このとき重要なのは、「内容を覚えて、理解して、まとめて打つ」ことを心がけることです。そして、こうした聞き方を身につける必要があります。そうすれば、どんな話し方にも対応できるようになりますし、読み手にもわかりやすい文章を打つことができるようになるでしょう。また、打ちながらある程度内容の展開を予測することができれば、より速く打つことができるようになるでしょう。
また、この要約も、内容を正確に伝えることが必要です。たとえば、話者が「聞き取ることができることもあります」と言ったところ、要約して「聞き取ることができる」とするのと「聞き取ることができることもある」とするのでは、大きな違いがあります。すなわち、前者であれば、「必ず」聞き取ることができるという意味になり、後者であれば、聞き取ることができる場合もあるし、そうでない場合もあるという意味になります。これはパソコン通訳に限らず、およそ通訳と呼ばれる仕事に普遍的な課題であると思いますが、あくまで通訳者は、内容を変えずに読み手に伝えることが求められているのです。（これは、ごくたまに英語の通訳を求められる自分にとっても、常に難しい課題です。）
また、要約する際にも、話している言葉をそのまま文字にするのではなく、書き言葉に直し、読み手に読みやすくすることも必要です。このとき、不完全な分を並べないことに気を配らなくてはなりません。常に聴覚が不自由な人の視点に立ち、文字情報だけで内容が伝わっているか、考えながら通訳をする必要があります。
また、さらに上のレベルとしては、句読点や改行、段落替えも駆使して、見た目も美しくすることです。また、読み手のことを考えて、スクリーンに映し出す速度も一定にすることは重要なポイントです。私自身、この�犇�地″に達するためにはまだまだ修行が必要だとは思いますが、いつの日か、このスキルを生かせるその日まで、鍛錬を積みたいと思います。
やはり常に意識するべきなのは、「自分の打っている文章でしか情報を得られない読み手がいる」ということです。読み手にとって常にわかりやすい文章を、正確にリアルタイムで、かつ読みやすく届けること、これがパソコン通訳としての使命なのです。
先ほど紹介したホームページには、パソコン通訳（パソコン要約筆記）のために開発された専用のソフトが無料で配布されています。「ＩＰｔａｌｋ」というソフトです。聞き手に対しては、より都合よく通訳できるように、また、読み手にもわかりやすく伝わるように、配慮されています。
誰がどこに行っても、当たり前に情報が得られるように、まずは大学から変わっていく必要があると思います。私自身、在学中は残念ながらこのスキルを生かす場がないかもしれませんが、この講座を通じて学んだ考え方はこれからもずっと心に留めておきたいと思います。また、可能であれば、ぜひとも自分のスキルを生かして、多くの人に貢献できればと思います。
コメント
大きい正確を授業しなかった？
投稿者: BlogPetのいっぱいあってな | 2006年11月22日 11:31
うーん、ちょっとよくわかんないや・・・
投稿者: ふじた＠自宅 | 2006年11月22日 15:28