「決して笑えない、おもしろいとも言えない(言いたくない)けれども、しかしやはり、示唆に富んでいて、多くの人が観るべき映画」というところでしょうか。「問題作」だけに、鑑賞後の感想もなかなか簡潔にはまとまりません。。。
#帰ってきたヒトラー
http://gaga.ne.jp/hitlerisback/
「なぜ私が支持されるのか、考えたことがあるかね」「市民ひとりひとりが私自身なのだ」
(と字幕にあった記憶ですが)このような挑発的な問いこそが、もっとも印象に残りました。何より、自分自身が問われていると強く感じました。日本の政治状況、また世界の政治状況を見て考えても、この問いには大きな意味がある、そして答えていかなければならない、答えを探し続けなければならない、と感じました。(しかしどうしたらよいのか。)
また、テレビ(メディア)がどのように「自主的に(もしくは積極的に)」あるいは「意図せざるして(もしくは意図していたのか)」プロパガンダに巻き込まれていくのか・からめとられていくのか、というプロセスも見所のひとつです。大変上手に描かれていて、そして何だか現実味があるようで、気味の悪い感じも残りました。
加えて、「これは演出なのか?ドキュメンタリーなのか?」観ていて混乱させる場面が散りばめられています。
「ジョーク(=映画の撮影)」だとわからずに写真を撮ったり、話しかけてくる人たちがいる一方で、「ジョーク」であっても許せないという反応ももちろんありました。あくまでも本人(ヒトラーに扮する役者さん)が真剣に議論しているがゆえに、単に演出としては割り切れない後味を残しているように感じます。この、境目がときとしてわからなくなるところは非常に優れていると感じましたが、同時に観ていてゾッとする瞬間が少なくありませんでした。
そして、メインキャラクターの結末は本当に笑えない。強いて言うなら、この後味の悪さこそが、観るべき理由と言えるかもしれません。
と、少し暗い・厳しい感じでまとめましたが、コメディとして観れる要素も(特に前半部分には)多く、楽しく・おもしろく、しかし重い、あるいは厳しい感覚を抱く、というところです。
また、ヒトラー関連の映画やYouTubeをよくご覧になっている方には(おそらく)おなじみの、「あの名場面」へのオマージュ(もしくはパロディ)とも言えるシーンも盛り込まれており、飽きさせない仕掛けにも注目です。
6月ロードショーで、そろそろ上映終了になっている映画館もあるようです。ご興味のある方はぜひお早めにどうぞ◎
*1 ふだんはあまりロードショーの映画は観ない+こうして感想も書かないのですが、今回はこの問題意識を多くの人と共有させていただければと思いました。
*2 東京の23区内に住んでいて本当によかったなと思えるのは、映画に行きたいと思い立ったら、すぐに実現できること。今日も夕方に「1日(=映画サービスデー)」であることに気づき、映画館を検索、複数の選択肢がある中で最寄りの映画館を選びました。思い立ってから1時間もかからずに、現地に到着できました。